SunのJavaオープンソース化計画、いよいよ最終段階へ

 米Sun Microsystemsは、今年5月に開催されたJava開発者向けの年次コンファレンス「2006 JavaOne Conference」で約束したとおり、同社の中核的なJava技術をオープンソース化する計画について、詳しい情報を少しずつ明らかにし始めている。

 Sunのソフトウェア・マーケティング担当バイスプレジデントであるペダー・ウランダー氏は10月31日、同社の「Java Platform Standard Edition(Java SE)」および「Java Platform Micro Edition(Java ME)」を、今年11月をメドに無償で提供開始する予定だとインタビューの中で語った。

 Java製品ファミリーに含まれる3つ目のプラットフォーム「Java Platform Enterprise Edition(Java EE)」に基づき、オープンソースのアプリケーション・サーバを構築する取り組みは、「Project GlassFish」という名称で2005年6月からすでに進められている。

 Sunは、Java SEおよびJava MEに含まれる3つの主要なコンポーネントをオープンソース化していくと、ウランダー氏は話している。対象となるのは、Java SEの「Java Compiler」「JavaHelp」および「Java HotSpot」仮想マシン、ならびに、Java MEの「Connected Limited Device Configuration(CLDC)」スタック、「Connected Device Configuration(CBC)」および「Mobile Information Device Profile(MIDP) 2.1」であるという。

 10月31日には、米モトローラがJava MEを軸とするオープンソース開発コミュニティを形成し、携帯デバイス業界に働きかける計画を発表している。Java携帯プラットフォームの断片化を防ぐことが、その目的だという。

 ウランダー氏は、Javaというブランド名を存続させることがSunの使命であると心得ているが、Java EEのProject GlassFishのように、オープンソース開発コミュニティが無料版のJava SEおよびJava MEを利用して開発したプロジェクトが、独自の名称で呼ばれることも十分ありうると述べた。

 ちなみに、Javaのオープンソース化が実現した場合、Sunが有するソフトウェア・ポートフォリオすべての70%までが無料で提供されることになるという。SOA(サービス指向アーキテクチャ)スイートおよびID管理ソフトウェアから成る残り30%を含め、同社の全ソフトウェアを12カ月以内にオープンソース化する作業は「順調に進んでいる」と、ウランダー氏は説明した。同氏はさらに、BPEL(Business Process Execution Language)とシングル・サインオン技術の無料提供に踏み切った時点で、SOAおよびID管理製品のオープンソース化は「すでに始まっていた」とも付け加えた。

 Sunにとってソフトウェアのオープンソース化は、同社の技術をより多くの開発者に利用してもらうための「種まき」のようなものだ。その結果、企業がサンのソフトウェアを採用することになれば、有料の保守管理サポート・サービスや、同社のハードウェアおよびストレージ製品の売上げが伸び、ひいては全社的な収入増加につながるというわけだ。

 ウランダー氏は、「Sunのハードウェア販売実績の90%は、ソフトウェア販売がきっかけになっている」という同社の社長兼CEOジョナサン・シュワルツ氏の言葉についても言及した。これまではそうした説を裏づける証拠をわざわざ示すことなどはしなかったが、ウランダー氏によると、現在Sunは4件のケース・スタディを公にする準備を進めているという。同氏は、米ヒューレット・パッカード(HP)のサーバを利用していた顧客が、SunのオープンソースOS「OpenSolaris」を試しに使ってみたあとに本格的な移行を決めて、ついにはSunのx86系サーバまで購入した事例を紹介した。

 さらにウランダー氏は、Sunは年次決算発表の時期にソフトウェアの販売セールを開催つもりであることも明らかにした。同セールは、現行の会計年度が終了する2007年6月ごろから開催される見通しだ。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

米Sun Microsystems
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提供:Computerworld.jp