デルとレノボのOS非搭載ノートPC、Linuxユーザーに好評

 米国デルとレノボは先ごろ、Windows OSをプリインストールしていないノートPCの出荷をそれぞれ開始した。両社の製品はいずれも新モデルではないが、Linuxユーザーに好意的に受け入れられているようだ。

 主要ブランドのノートPCとLinuxを組み合わせて販売しているエンペラーリナックスでは、OS非搭載のデル製ノートPCにLinuxをインストールして売り出した。同社CEO(最高経営責任者)のリンカーン・デューリー氏は、「基本的にLatitudeシリーズの全モデルで、OSなしの製品を入手できるようになった。今のところ、順調に売れている」と語る。

 同社は、LinuxをインストールしたデルのノートPCとして、D420、D520、D620、D820、D620ATG、M90の各モデルを販売している。このうち、高耐久モデルの D620ATGとPrecisionシリーズのM90だけは、Windowsがインストールされた状態で顧客に購入してもらい、同社がLinuxに入れ替えているという。

 デューリー氏は、デルがOSなしのモデルを投入したのは、およそ3週間前だとしている。当初はデル側の供給体制に問題があり、顧客から苦情を言われることもあったと同氏。エンペラーリナックスが販売しているデル製ノートPCのうち、最も人気が高いのは、Windowsのライセンスなしで入手できるD820と、ライセンス付きで販売されているM90だ。

 ただし、ライセンスなしのモデルを購入しても、価格が安くなることはない。デューリー氏は、「Windowsの有無にかかわらず、仕入れ価格はまったく同じになっている。Windowsモデルでは一時的に値引きが行われたが、OSなしのモデルでは、その値引きが1週間も反映されないことがあった」と語っている。

 一方、レノボ製ノートPCの場合は、OSなしのThinkPadを、Windows搭載モデルからおよそ40ドル値引きして販売している。デューリー氏によると、現在はマイクロソフトのライセンスがないThinkPadのTシリーズを販売しており、Xシリーズについては、まだライセンスなしの製品がレノボから供給されていないという。

 レノボ米国法人の部門責任者、ランディ・ヒッケル氏は、「OS非搭載のThinkPadは当社のWebサイトでも購入できない」と語り、そうした製品を購入したい場合は、エンペラーリナックスなどの販売代理店に発注したほうがよいとアドバイスする。「OSなしのノートPCを販売している代理店は多い。ただし、ネット通販大手のCDWなどでは扱っていないので注意が必要だ」

 レノボは、ノベルの企業向け Linux OS「SUSE Linux Enterprise Desktop」を搭載したThinkPadを昨秋から出荷しているが、OSを搭載しないThinkPadについても、Xシリーズなど多くのモデルに広がりつつある。「われわれは、OSなしのThinkPad Xシリーズを出荷できる体制を整えている」と、ヒッケル氏は強調する。

 ただし同氏は、“スペシャル構成”と呼ばれるモデルを作るかどうかは未定だとしている。これは、もともとは技術計算用のワークステーションを求める大手企業向けの製品のことだ。このようなモデルをレノボが出荷していたのは、CADソフトを使っている巨大メーカーの支持を獲得することが目的だった。

 エンペラーリナックスのデューリー氏は、スペシャル構成のモデルを調べて注文するのはかなり面倒な作業だとして、購入の際は販売代理店に相談することを勧める。「そうしたモデルはオンラインでは入手できない。そのため、品番を確かめ、扱っていると思われる代理店に問い合わせる必要がある。当社も、レノボとのパートナーシップに基づき、こうした顧客を紹介してもらっている」

 OS非搭載のノートPCを求めるLinuxユーザーはかなりの数に上ると見られている。デューリー氏も、「Windowsモデルよりも安いかどうかではなく、レッドハットが言うところの精神的な勝利という意味で、Windowsが付いてこないPCを欲しがるLinuxユーザーは相当数いる」と語っている。

(ダン・マルティ/Network World オンライン米国版)

米国デル
http://www.dell.com/

米国レノボ
http://www.lenovo.com/us/en/

提供:Computerworld.jp