FoxTorrent――Firefox BitTorrentクライアント

 今やどこにでもあるAzureusのようなBitTorrentクライアントだが、そこにまた1つ仲間が加わった。FoxTorrentだ。一通りの機能を備えたクロスプラットフォームのFirefox BitTorrentクライアントで、現在Akamaiの一部門となっているRed Swooshが製作した。機能に不足はあるが、それを補うだけの手軽さがある。

 原稿執筆時点での最新バージョンは1.03だ(バージョン1.0は4月26日にリリースされた)。このバージョンでは、LinuxとOS X上で機能しないという問題が修正されている。筆者もGentoo(Firefox 1.5)でこの問題の発生を確認しているが、Ubuntu 7.04(Firefox 2.0)ではまったく問題なく動作した。

 動作は普通のBitTorrentクライアントと同じ。トレントを発見するとファイルのダウンロードを開始し、利用者にはその経過を示す画面を提示する。

FoxTorrent(クリックで拡大)

 FoxTorrentは使用に先立って何かを設定する必要がなく、そのままで動作する。NATやUPnPを設定する必要もなければファイアウォールを通す必要もない。さらに、Firefoxを閉じても動作を続ける。これは、Firefoxを最初に起動したときRedSwooshという名のデーモン・プロセスとしてFoxTorrentが起動されバックグラウンドで動作するからだ。

 FoxTorrentが占めるメモリーは小さい。私が試用したところでは、ファイルのダウンロード中でも5MB、待機中は2MB以下だった。ただし、使用するメモリー量はOSやシステム構成などで変わるため、実環境によってこの値は異なる。また、一部のMicrosoft Windowsで、メモリー・リークによりシステムがリブートされるという報告がある。

 FoxTorrentで最も注目すべき機能はストリーム/再生機能だ。ファイルのダウンロードが始まるとダウンロード状況を表示する欄の隣にボタンが現れ、ダウンロード中はストリーム、完了後は通常の再生を行うことができる。ただし、今回の試用に使ったUbuntuシステムではこの機能は使えなかった。FoxTorrentがオーディオのストリーミングに使用するTotemがSWFファイルの再生を嫌ったからだ。Adobe Flashプラグインがインストールされているのに、なぜTotemを使ってSWFファイルを再生しようとするのだろうか。調べてみてもわからなかった。一方、オーディオ再生の管理には、Google Flashビデオ・プレーヤーが使われる。

 何も設定しなくてもFoxTorrentが動作するのは素晴らしいが、そもそも設定できる要素はほとんどない。現在変更可能なのは、唯一、デフォルトのダウンロード・ディレクトリーだけだ。アップロードとダウンロードの抑制、Firefox起動時のデーモン生成の停止、FoxTorrentを通さない.torrentファイルの直接ダウンロード(現在のFoxTorrentは、クリックされた.torrentファイルを必ず取り込んでしまう)などの機能が望まれる。

 また、現在のFoxTorrentはダウンロードが終わってもシードに移行しない。これは信義にもとる行為ではなかろうか。私としては、ダウンロード後数時間――ときには数日間――トレントをシードし、回線利用上、自分の取り分ぐらいは返したいところだ。FoxTorrent Blogによると、FoxTorrentも、ほとんどのBitTorrentコミュニティー同様、アップロードに1対1プロトコルを使っているという。しかし、ダウンロード中にのみアップロードされるといっても、本当に1対1転送が行われていることをどうやって確かめればよいのだろうか。今後のリリースでは、クライアントから転送された送受信バイトを数字で表示するようにしてほしいものだ。

 FoxTorrentは手軽で使いやすいBitTorrentクライアントだ。しかしながら、私としては今後もrtorrentを使い続けるつもりである。ここで指摘した問題、とりわけダウンロード後のシード問題が解消されない限り――

NewsForge.com 原文