[tomoyo-users 483] Re: OLS2008の報告(前編)

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Toshiharu Harada harad****@nttda*****
2008年 9月 12日 (金) 15:47:59 JST


On 2008/09/09, at 14:36, Toshiharu Harada wrote:
> いずれにせよ、用意した内容を発表しましたが、その後の
> 質疑で(自分としては)大変な出来事がありました。
> (後編に続く)

ということで後編です。

質疑では何人かの方から質問がありましたが、流れ的には
IPv6(うさぎ)の吉藤さんから「メインラインってその後
どうよ?」という質問があり、それに対して「継続して
挑戦しているんだけれど、fsのほうでOKが出ないし、
理由を聞いても答えてくれない。困っている」と返事をした
ところ、SELinuxのStephen Smalleyが、手を挙げて、
「自分はそうは思わない。彼らは既に回答したから答えないんじゃ
ないか?」と発言しました。

私はStephenと初めて会ったのはOLS2007で、直接話し 
た時間は
それほど長くはありません。しかし、その後交わしたメールの
やりとりや彼のLKMLへの投稿などを見て、その姿勢に
共感すると同時に敬意を持ち、その深い知見と知識には
驚嘆するばかりです。

「そのStephen」の発言は多分間違っていないのです。
(以前LKMLのやりとりで、「あなたはいつも間違えない」と
書いたら、「明らかにそのようなことはあり得ない」と
これまた理知的に返されたことがあります)。

Stephenの言う通りだとしたら、「返事をしてくれない」と
愚痴を重ねながら、指摘を活かさず駄目と言われたことを
繰り返し同じようなパッチをLKMLに投げ続けているとした 
ら・・・。
そう思ったときから沈みました。とても深く。本当にそうなら
恥ずかしいとも思いました。

OLS2008ではもうひとつ出来事がありました。
オタワ空港で帰りの飛行機を待っている間、CELFのTim  
Birdと
話をしていたら、彼が急に声をひそめ、周囲を見回しました。
「実は・・・」と言って話してくれたのは、こんな内容です。
「昨日プライベートでSELinuxの連中と話したんだだけど、
彼らはTOMOYOのメンバーはLKMLでのマナー、議論の仕方が
良くないと言っていた」。

これは思い当たることがありました。具体的な内容をここで書くと
長くなるので省略しますが、秋元さんが書かれている
LKML TOMOYO Linux Watchを読まれると雰囲気はわかると
思います。
http://esashi.mobi/~matthew/wordpress/archives/category/it/open-source/tomoyo-linux-open-source-it

「議論の仕方が悪いからどうした?」と思われるかも
しれませんが、昨年からメインライン化のための活動を続けてきていて、
議論の仕方が影響することを体感しています。おそらく
あまり好ましくは見えていないとは思っていましたが、
そのことをストレートに告げられてさらに精神的に沈みました。
ということで、LFJのあとのOLSも終わったものの、
沈んだ気持ちをひきずったまま帰国しました。帰国後
普通に生活し、会社にきて仕事をしていますが、2つの
イベントの報告が書けませんでした。

帰国してからメンバーで集まり話し合いました。
過去は変えられません。Stephenの言っていることは
100%正しい保証はありませんが、それでも過去の議論を
振り返ることは必要だし、この先活動を続けるならば
義務だとも思いました。

実際の振り返りは開発者である半田さんと武田君が行い、
fsのメンテナであり反対派の代表(親分)である
Al Viroの指摘を推測しました。その結果をLKMLに投稿したのが
下記のメッセージです。

http://lkml.org/lkml/2008/8/19/16

しかし、恐れいたように(あるいは予想したように)この
質問自体、返事がありませんでしたし、コメントもつきませんでした。
ということで、再投稿したのがこれです。

http://lkml.org/lkml/2008/9/2/1

このスレッドには、何人かのレスがつきましたが、Al Viroは
答えてくれません。(こうしたときにとても困ります)

ただ、今回は正しい方法を取っていることに自信がありました。
勝手な思い込みではなく、メンテナに自分達の考えの
確認を求めており、それに答えるのはAl Viroの義務でもある 
からです。

自信があっても答えてもらえないと先に進めないので、
どうしたかというと、LFJで会ったAndrew Mortonに頼 
みました。
彼はELC2008で、「困ったことがあれば俺に聞け。俺はそのた 
めにいる」
という基調講演を行っています。私はそれを覚えていたので、
LFJの自分の講演資料に「困ったときは誰に聞けば良い?」という
質問を挿入したのです。彼に「困ったら助けてくれるんだよね?」と
思い出させるために。講演の本番では、彼は「自分です」という
カードを挙げながら、頭を抱えていました。それは
Andrew Mortonの講演を生で聞いた武田君と私には忘れられない
情景でした。

Al Viroに答えてもらえず困った我々はAndrewに相談しました。
彼はすぐには返事を返しませんでしたが(笑)、催促したら
「ちょっと待ってろよ」とメールしてきました。それで待っていたら、
「Al ViroにIRC(インターネットリレーチャット)で 
聞いてみたよ」
と言ってそのやりとりを送ってくれました。

I discussed this on IRC with Al.

Here's his reply:

<viro> yes - and I've told them what to do months ago
<viro> shift their call sites up the call chain
<viro> to the places where vfsmounts they want *are* known
<viro> add new hooks in those locations, for all I care
<viro> leaving the old ones where they are

<viro> they want vfsmount available to their "security" methods
<viro> that are called from functions that know and care only about  
dentry
<viro> and don't care which of fs instances in the mount tree (if any)  
had been involved
<viro> moreover, that "if any" is serious - it's not obvious for some  
callers
<viro> the obvious solution: call their methods from callers of those  
functions; i.e. from places that *do* know which vfsmount they are  
dealing with
<viro> or from _some_ such callers - ones where we have a vfsmount  
involved
<viro> Note: I'm carefully abstaining from any judgement on usefulness  
of the entire "path-based" thing
<viro> as long as they do it clean way, I simply don't care if what  
they are selling to their customers is a snake oil; it's not my problem

Hopefully that's enough material for you to be able to prepare a new
patch along those lines.

これを送ってもらえたことは私たちにとってとてもうれしいことでした。
Andrewに深く感謝しました。

この情報を得て、それに基づくパッチを作成して、Al Viroに 
送りました。
それが昨日のことです。(Andrew Mortonはccしています)

TOMOYO Linuxの存在と私たちがメインライン化に挑戦していることは、
今やLKML、カーネルコミュニティの中でもかなり知られていると
思います。同時に、それがもめていて、特にAl Viroに拒否さ 
れている
こともです。なので、結局Al ViroのOKがとれない限り 
TOMOYOが
マージされることはないし、他の人も投稿しても真剣に読んでくれ 
ることは
ないでしょう。

Al ViroのOKが得られれば、全体のパッチを投稿しますが、も 
ちろん
それがすんなり採用される保証はありません。ただ、そこで
受ける指摘は乗り越えることができると思っています。
これが2008年9月12日現在の状況です。
あきらめないでやり続けます。

--
原田 季栄 (Toshiharu Harada)
harad****@nttda*****




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